[00:02.04]おお、これは現実には存在しない獣だ。
[00:07.60]人々はそれを知らなかったのに、
[00:11.08] 確かに この獣を、その歩く様や佇まい
[00:16.32]その馬場を 又、その静かな眼差しの光に至るまで、
[00:22.88]愛していたのだ。成程これは 存在していなかった。
[00:29.88]だが、人々が これを愛したということから
[00:33.15]生まれてきたのだ、一頭の純粋な獣が。
[00:39.47]人々は 何時も 空間を 上げて置いた。
[00:44.03]すると それは透明な取って置かれた空間の中で
[00:48.32]その獣は軽やかに 頭を擡げ、
[00:51.71]もう、殆ど、存在する必要もなかった。
[00:57.99]人々は それを極物ではなく、
[01:01.68]何時も、只、存在の可能性だけで養っていた。
[01:07.62]そして その可能性が この獣に力を与え、
[01:12.53]その額から 角が生えたんだ、一本の角が。
[01:20.26]そして 獣は 一人の少女に 白い姿で 近寄り、
[01:27.41]銀の輝きの中と彼女の中に 存在し続けた。